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【第1回/キックオフ】「善意のボランティア」から「公的インフラ」へ!埼玉版FEMAと民間危機管理監が目指す未来

  • 6月29日
  • 読了時間: 4分

こんにちは。埼玉県災害ボランティア団体ネットワーク「彩の国会議」です。

私たちは、災害時に活動する団体の県域ネットワーク化を目指し、2018年に産声をあげました。その根底には、10年以上にわたり、東日本大震災の経験と教訓を次の大災害に活かすため、埼玉県内で「協働型災害訓練」を重ね、地域に根ざした災害支援のネットワークを培ってた経験があります。そしてこの度、2026年7月より、日本財団の助成プログラム「支援体制の整備と被災想定訓練の実施」を本格的に始動することとなりました。

このプロジェクトが目指すのは、単に「訓練を実施すること」だけではありません。

日本の災害支援における「当たり前」を根底から変え、いかなる属性の被災者に対しても、即座に最適な専門支援が届く仕組みを地域社会に実装するための、非常に大きな挑戦です。

連載の第1回目となる今回は、私たちがなぜこの事業に挑むのか、その背景にある「目的」と「ビジョン」について詳しくお伝えします。

避けては通れない課題:「ボランティア・フリーライド(無償依存)」の限界

東日本大震災や近年の大規模災害以降、災害ボランティアや専門支援NPOの存在感はますます高まっています。被災現場で「行政の手が回らない領域」をカバーしているのは、まぎれもなく民間側の多様な専門支援です。

しかし、現在の日本の災害支援システムは、大きな課題を抱えています。

それは、民間側のリソースが「ボランティアの善意と無償奉仕」に過度に依存しているという点です。これを私たちは「ボランティア・フリーライド(無償依存)」の構造と呼んでいます。

災害時、専門知識を持つNPOや団体が自費で現場に駆けつけ、寝食を削って支援にあたる姿は、しばしば美談として語られます。しかし、平時からの体制維持、機材の管理、専門人材の育成、そして発災時の活動経費に至るまでを「善意」という不安定な基盤に頼り続けることには、すでに限界がきていと思います。

善意に頼るシステムでは、たまたまその地域に強力な団体がいれば支援が届き、いなければ届かないという「支援の格差」が生まれてしまいます。さらに、資金や人員の限界によって、民間側が持続可能な組織として機能し続けることも困難になることは必然です。

私たちは、この構造を根本から打破しなければならないと考えました。

私たちが掲げる「最終目的」とビジョン

民間による災害支援を、一部の人の善意による活動から、「正当な対価と予算を伴う公的な社会インフラ」へと再定義すること。これが、本事業の最終目的です。

道路や水道といった公共インフラが、常に予算を伴って維持管理されているのと同様に、災害時の専門支援ネットワークもまた、社会全体で支えるべきインフラであるべきです。

このインフラが確立されることで、高齢者、障害のある方、乳幼児連れのご家族、外国籍の方、あるいはペットを飼われている方など、「いかなる属性の被災者」であっても、発災直後からそれぞれのニーズに合致した最適な専門支援が即座に届く社会が実現すると思います。

3年後の未来へ:埼玉県内に「民間危機管理監」体制を構築する

このビジョンを具体的な形にするため、私たちは3年後(中長期目標)を見据え、「民間危機管理監」体制の構築を目指します。

「民間危機管理監」とは、行政の「公助」と対等な立場で機能し、民間側の多様な支援リソースを統括・指揮する専門組織(専任チーム)のことです。

具体的には、以下の2つの強みを掛け合わせることで、埼玉県独自の強固な防災ネットワークを作り上げることを目指します。

① 「埼玉版FEMA」連動型訓練の定着

米国連邦緊急事態管理庁(FEMA)の仕組みを参考に、行政と民間が同じタイムラインと共通言語で動くための「埼玉版FEMA」。これを一般財団法人日本総合研究所(日本総研)との高度な連携によって訓練に落とし込み、平時から定着させていきます。これにより、災害時に最も発生しやすい「官民の目詰まり(連携不足による停滞)」を防ぎます。

② 14分野の専門支援リソースのデータベース(DB)化

災害支援は多岐にわたります。JVOADが被災者支援コーディネーション ガイドライン」で定めている食、子育て、家屋保全、ペット、外国人支援など、県内にある「14の専門分野」のリソースを徹底的に調査し、デジタルデータとして集約します。どこに、どのようなプロフェッショナルが何人いるのかを可視化することで、発災時にピンポイントで最適なリソースを派遣・受え入れる仕組みを作りを目指します。

これから始まるストーリー

2026年7月から2027年3月までの期間、私たちはこのビジョンに向かって4つの柱(体制整備、被災想定訓練、政策提言、連絡調整基盤の整備)を軸に、目まぐるしく活動を展開していきます。

次回のブログでは、このプロジェクトを動かすシステム面と組織面の要である、「14分野のリソースDB化」と「kintoneによるリアルタイム連絡網」、そして「県内に設置されるつなぐチーム(5名体制)」について具体的に掘り下げていきたいと思います。

「善意」を「確かなシステム」へ。

埼玉から始まる「彩の国会議」の新しい災害支援のカタチにぜひご注目ください。

  • 次回予告:【第2回】災害時に即座に動く!14分野の専門支援リソースDBとkintoneによるリアルタイム連携(近日公開予定)

 
 
 

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