【報告】協働型災害訓練in杉戸、終了しました。
平成25年度国土交通省広域的共助推進モデル事業として スタートし、今年で3回目となった「協働型災害訓練in杉戸」。
中越地震に学び、震災3日後に駆けつけたすぎとSOHOクラブ、 阪神淡路の経験を活かし、震災当時2500団体を束ねていたNPO埼玉ネット、 震災直後から避難者を受け入れた埼玉県杉戸町、 全町避難を余儀なくされ、平成30年の帰町を目指す福島県富岡町、 震災の翌年に帰還宣言を行い、復興の先頭に立つ福島県川内村、 この5者で構成された協議会が主催となり、 1/29金と30土の2日間にわたり開催されました。
東日本大震災で多くの経験と教訓を得た私たち。 その私たちが次にすべきは来るべき首都圏災害に備えること。
杉戸は首都圏から40kmの位置にあり、災害の少ない地域です。
東日本大震災のように海岸沿いの被災では、 NPOをはじめとした内陸からのきめの細かい援助が可能でした。
しかし、首都圏災害が起こったとすると、 人口比も東北のそれとは著しく異なります。 同心円状に被災エリアが広がり、 細かい援助では到底炎を消すことができません。 まさに私たちの想定を超えることが起こり得るのです。
この大規模災害に対応するためには、 ここ杉戸にあらゆるものを集め、 幾重にも重なる炎にバケツで水をかける感覚で、 多くの命を救わねばなりません。
そのために必要なのが、 1970年代に米国の大規模な山火事に対応するために考えられた ICS(アイシーエス(インシデント・コマンド・システムの略))。
指揮命令系統を一元化し、 対処すべき役割と部隊を明確にして、 刻一刻と変化する災害に対応する、災害版ISOとも呼ぶべきシステムです。 米国の消防士は必ずこのICSを学ばねばなりません。 だからこそ、多くの人が集まってもどんな災害にでも対応できるのです。
そして、行政が動き出すまでには必ずタイムラグがあります。 それは法律を遵守し、公共の守護神である組織の宿命です。 だからこそ、市民やサードセクターの私たちが初動対応することが、 動き出した行政に的確にバトンタッチすることが重要なのです。
だからこそ、私たちは震災で活躍したNPOを中心に、 このICSのリーダー研修をはじめました。
彼らがICSを学び、地域に持ち帰ることで、 その知識や考え方が広く浸透し、 来るべき大規模災害時、集った皆がICSを知っていれば、 より効率的な組織運営で災害に対処でき、 たくさんの命を救うことにつながると考えたからです。
今年もその想いに共感する多くの団体に参加して頂きました。 その数、2日間でのべ100団体近く。 ご参加いただき誠にありがとうございました。
主催として古谷杉戸町長、 ご来賓として、榎本宮代町長、小熊連合本部局長、小林連合埼玉会長 三ツ林衆議、鈴木衆議、牧野衆議、坪田杉戸議長、岡県議、吉良県議。 祝電は、上田埼玉県知事、土屋衆議、関口参議、古川参議からも頂戴しました。 改めてお礼申し上げます。
今年のメニューは、ICSを活用した図上訓練、 防災先進国米国の事例や、地形から防災を学ぶ講演、 震災で活躍した団体から提案を行うワークショップ、 避難所運営シミュレーションゲーム、 物資仕訳運営シミュレーションゲームなどを行いました。
勿論、福島県富岡町と川内村から多くの行政職員が参加。 初日のフィードバックタイムでは、 「震災から5年。私たちのまちの今」と題して、 福島県富岡町と川内村から現場の今を赤裸々に語って頂きました。
「杉戸でこんな大規模なことをしているなんて知らなかった」 以前取材に訪れた直木賞作家の天童荒太さんにも言われました。
確かにPRが下手でローカルイベント的な私たちです。 でも、続けることが何よりも大切だと思っています。 年に一度でもこの場所で顔を合わせ、時間と想いを共有し、 「普段づきあい」のできる「顔見知り」になることが大切だと思っています。
天童さんの記事にもある通り、「つながることは備えること」なのです。
災害が起きた時に「ああ、大変そうだな」と 何処か他人事として捉えるのではなく、 「大変だ!あの人どうしただろう?」と 自分にとって身近なこととして捉えることこそが、 何にも代えがたい力を発揮し、 手を差し伸べる力になるのだと思います。
今年は訓練の様子が7時台のNHKでも放映され、 多くの方に存在を知っていただくことが出来ました。 来年はさらに多くの方が参加し、想いを共有していただけたらと思います。
2日間ご参加いただいたみなさん、 参加できなくとも応援して頂いたみなさん、 突然のお願いにも係わらずリーダーの任を務めていただいたみなさん、 そして、準備にお力添えいただいみなさん、 本当にありがとうございました。
そして、引き続きよろしくお願いいたします。
杉戸町・富岡町・川内村地域間共助推進協議会 事務局 豊島亮介